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Triangle 13
(13話/報復)

翌日、俺は魅音とろくに目も合わせられず死んだように過ごしていた。
学校を休んでしまいたいくらいだったが、親がそう簡単に許してくれるはずがなかった。

トイレに行くのにボケっと歩いていると、突然背中をバシンと叩かれた。
驚いて振り返ると魅音だった。
「何辛気くさい顔してんのさ!男のくせに情けない!」
魅音は今日もいつもと変わらず明るく振る舞っていた。
今日だけじゃない、俺が魅音に縋りついた晩の翌日だって魅音は何事もなかったかのように振る舞っていた。
魅音だって泣くくらい傷ついたはずなのに。
魅音のその強さには恐れ入る。
「圭ちゃんの気持ちは分かった。昨日までの事は忘れるからまた今まで通り過ごそう?」
「…魅音」
「昨日は取り乱しちゃってごめんね!忘れて!」
魅音はそう言うと俺の前を走り去って行った。
昨日伝えた気持ちまで忘れると言われた事は少し寂しかったが、魅音がまた俺に笑いかけてくれた事が嬉しくて、
不覚にも涙が込みあげた。

そして俺達は今まで通りに振る舞うよう心がけていくうちに徐々に元通りの日常に戻りつつあった。



「はろろ~ん!遊びに来ちゃいました」
それから数週間後の昼休み、何の前触れもなく詩音が分校へやってきた。
俺達の事情を知っている一同は絶句して固まった。
「何ですかみんな固まっちゃって」
詩音はくすくす笑うと沙都子の元へ歩み寄って抱きしめた。
「沙都子、ごめんなさい!私ったら悟史くんに沙都子の事頼まれてたのにほったらかしてこんなダメ男にかまけてて…」
「な、なんですの~?!苦しいですわ!」
言いながら俺に視線を向けて来る詩音。
言い返したいのは山々だが、否定出来ないのが悔しい…
「今日は沙都子の為にカボチャ弁当を作って来ました」
「ひっ?!カボチャは嫌あああ~!」
「ダメですよ~!カボチャもちゃんと食べなきゃ」
そして沙都子と詩音はドタバタ攻防戦を繰り広げた。
しばらくぽかんとその様子を眺めていたが、ふと魅音に視線を向けると目が合った。
すると魅音はやれやれといった表情で苦笑した。
そろそろ昼休みも終わりに近付いてきた頃、沙都子と戯れていた詩音が突然魅音に振り向いた。
「あ、お姉。今日の部活は私も参加させてもらいますからお楽しみに」
詩音は手早く帰り支度をするとみんなに手をひらひら振って教室を出て行った。
「えっ?ちょっと待って詩音!」
魅音の声も聞かず言い終わる頃には詩音の姿は消えていた。

そして放課後、予告通り詩音は現れた。
「授業お疲れ様です。さぁ部活始めましょうか!」
「ちょっと詩音いきなり何なのよ!」
「お姉聞きましたよ?この間の部活で圭ちゃんにハメられて泣かされたんですって?」
ぎくっ!バレてる?!
詩音がぎろりと俺に視線を送る。
「ななな何で知ってるの?!」
「…ごめん魅ぃちゃん…詩ぃちゃん心配してるみたいだったから」
魅音が慌てているとレナが申し訳なさそうに微笑んだ。
「もう泣かせないって言ったそばから」
「ごめん…」
詩音は本気で言っている訳ではなさそうだったが、心がチクチク責められ無意識に謝罪の言葉が漏れた。
「泣いてない!」
すると突然魅音が大声で叫んで辺りがしんと静まり返った。
「なんで私が圭ちゃんに泣かされなきゃいけないの!ほら早く部活始めるよ!」
魅音はそう言って部活ロッカーを漁り始めた。
詩音は魅音の後ろ姿を見て小さくため息をつくと俺に顔をむけた。
「まぁ、とにかく圭ちゃん覚悟しといて下さいね」
「ひっ…!」
凄まじい冷気を放ちながら笑う詩音に背筋が凍る思いがした。

そしてゲームが始まりものの一分で俺は瞬殺された。
その後次々と脱落していき、魅音と詩音の姉妹対決になったが惜しくも魅音が敗れ、詩音が一位となった。
罰ゲームは先日と同じく「ビリが一位の命令を聞くこと」だった。
詩音が恐ろしい笑みで俺を見下ろす。
俺は震えながら詩音の命令を待った。
「ビリはエンジェルモートで制服を着て私とお姉にご奉仕!もちろん食事代も圭ちゃん持ちですよ?」
「なっ…なんだそりゃああぁぁ!!」



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