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Triangle 3
(3話/姉妹の接触)

翌日、体育の着替え中の事。

「あれ?魅ぃちゃんネックレスつけてたの?」
私が服を脱いだ時、レナに声をかけられた。
しまった…!忘れてた!
私は慌ててネックレスを手で隠した。
「あっ…いやこれはその…………昨日、圭ちゃんが…」
いい言い訳が思いつかずに、小さな声で打ち明けた。
「圭一くんにもらったの?!」
レナが余程意外だったらしく目を丸くして驚いた。
「レナ、声大きい!」
他の子達に聞かれたくなかったので慌ててレナにそう言った。
「へ…変だよね。こんなの私には似合わないのに…でもせっかく貰ったのに使わないのも悪いし…」
私はしどろもどろになりながら言い訳をする。
実は嬉しさのあまり私は制服の下に隠してこっそりつけてきてしまったのだ。だけど体育の事はすっかり失念していた。
そんな私にレナはふんわりと微笑んだ。
「そんな事ないよ。とっても似合ってる。隠さないでつけてればいいのに」
「だって私がいきなりこんなのつけてたら変でしょ?それに一応学校だしさ…」
あれこれ言い訳を並べる私にレナはクスクス笑っていた。
「とにかく、みんなには内緒だからね?」
「分かった。その代わりあとで話聞かせてね?」
レナは楽しそうに笑いながらそう言った。


そしてあっという間に放課後を迎えた。
私は知恵先生に雑用を頼まれ一人校舎裏で作業をしていた。
「お姉、こんにちは」
私がその声に顔を上げると、詩音のいやらしくニヤニヤ笑う顔があった。
私はその冷たい表情に嫌な予感がした。
詩音がこういう顔をする時は必ず何か裏がある。
「詩音どうしたの?なんでこんなところに?」
「お姉に報告したい事があって…」
そして詩音は私の首元に手をかけてネックレスを引っ張り出した。
「お姉も圭ちゃんに貰ったんですね」
「え?」
詩音は自分の首もとのネックレスを私に見せた。
私が貰ったのと同じようなくまのネックレス。
「圭ちゃん私に買ってくれたんです。誕生日だって事も言ってなかったのにですよ?」
「いつ?いつ貰ったの?!」
「一昨日です。昨日は会えなかったから一日前倒しでお祝いしてもらったんです。
その日、圭ちゃんをうちに呼んで…朝までずっと一緒に」
詩音がうっとりとした表情でそう言った。

朝まで一緒にいた…?

昨日の圭ちゃんのおかしな行動を思い出す。
その朝、やたら眠そうな顔をしていた圭ちゃんはどこか私によそよそしくて、一度も私を見ようとしなかった。
私がいやらしビデオを見ていたんだろうとからかうと、突然狼狽え否定した。そしてさらにからかって、やっと私を見てくれたと思ったら圭ちゃんはあろう事かあからさまに私から顔を逸らしたのだ。

…それは、つまり…その日の朝まで私と同じ顔の妹と……そういう事をしてたって事?!

「お姉、今日圭ちゃん借りていきますね♪」
詩音はにんまり笑うと踵を返してパタパタ駆けて行った。
その事実に気付いてしまった私はその場に立っているだけで精一杯だった。

なにそれ…じゃあこのネックレスは所詮詩音のついででしかなかったんじゃない…
一瞬でも期待して舞い上がった自分がバカみたい!

私はそのネックレスを外して地面に強く叩きつけた。
涙が溢れ出し、その場でうずくまって泣き崩れた。

それからどれだけの時間が経ったのだろうか。ずいぶん長い間そうしていたような気がする。
突然レナが私のもとにやってきた。
「魅ぃちゃん!どうしたの?!詩ぃちゃんに何か言われたの?」
私はレナの呼びかけに答える事も出来ずにひたすら泣き続けた。
レナは私が叩きつけたネックレスに気付いてそれを拾い上げると、私をすぐそばの腰掛けられる場所に移動させた。
そして私が落ち着くまで背中を撫で続けてくれた。
「魅ぃちゃん、何があったの?」
私が落ち着いたのを見計らってレナが声をかけてきた。
「…圭ちゃん…昨日の朝まで詩音と一緒にいたんだって…」
「えっ?!朝までって…」
「詩音がなんであんな急に意地悪してきたのかも分からないし
…悔しい…他の人ならまだしも…なんで詩音なの?同じ双子なのに…」
言っているうちに再び涙が込み上げた。
あれだけ泣いたのに、この涙はどこから生まれて来るのだろう?
「…私も、どうせなら魅ぃちゃんの方がよかったな…」
レナはとても悲しそうな顔で私の肩を抱いて呟いた。
私はまた嗚咽を漏らしながら泣いた。





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