忍者ブログ
choco milk
First(TOP)  Diary  ss  long  Pict  Other  Gift  Link 
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Triangle 2
(2話/魅音の誕生日)

次の日、俺は早朝に詩音に起こされ、いつも通り学校へ行くよう促された。
そしてレナと合流し魅音との待ち合わせ場所まで来た。魅音はまだ来ていないようだ。
「圭一くん眠そうだね。昨日は夜更かししちゃったのかな?かな?」
「ああ、つい夜中までテレビ見ちゃってな」
昨晩は詩音に誘われるがまま体を重ねてしまい、随分遅くまでそうしていた。
だから眠くて仕方がない。
そんな事を考えているうちに魅音がやってきた。
「お待たせ~!おはよ!」
「魅ぃちゃんおはよう!今日はお寝坊さんかな?」
「違うよ!今日は婆っちゃに用事頼まれちゃって」
魅音は頭を掻きながらたははーと笑う。
魅音に後ろめたい事をした訳でもないのに、なんとなく気まずくて俺は魅音と視線を合わせられずにいた。
「圭一くん、どうしたの?早く来ないと遅刻だよ?」
「何ボーっとしてんのさ?まさか圭ちゃん夜遅くまでいやらしいビデオでも見てたんじゃないの~?」
ビデオどころか、実際に俺は…
「…!…違ぇよ!」
つい動揺してしまって、返事が一拍遅れてしまった。
「まさか圭ちゃん、本当に?」
「け…圭一くん不潔なんだよ~!」
そのせいで誤解され、揚げ足を取られる。
「だから違うって言ってるだろ!」
俺はごまかすようにレナの頭をぐしゃぐしゃ撫で、歩き出した。
「まぁ圭ちゃんも男の子だもんね~?分かるよ」
「だぁから…!」
魅音のからかいについ反応して魅音を見てしまった。
その顔を見て昨日の情景が蘇り、思わず顔を背けた。
「圭ちゃん…どうしたの?」
魅音が不審がって俺の顔を覗き込もうとする。
「…な…なんでもねえよ!早く行くぞ!」
俺は赤くなった顔を見られまいと、魅音より前に歩み出して早足で歩いて行った。

学校に着くと、魅音はクラスメイトとすれ違う度に誕生日の祝いの言葉をかけられた。
「魅ぃちゃんお誕生日おめでとう!プレゼントだよ!」
「ボク達は大した事はできないですがお弁当をちょっと豪華に作ってきたのですよ」
「わたくしもたくさん手伝ったんですのよ!楽しみにしていて下さいませ!」
「みんなありがとう!嬉しいよ」
魅音はみんなに祝われ、嬉しそうに笑った。
俺も一応昨日買った物を持ってきてはいるのだが、恥ずかしくて渡せずにいた。


そのまま何事もなく時間が過ぎ、帰宅の時間となった。
今日はレナに用事があり先に帰ってしまったので部活はなく、魅音と二人で帰る事になった。

なんか気まずい…

そう思っているのは俺だけで、魅音はいつものように話しかけてきているのだが。
「…圭ちゃん?どうしたの?今日元気ないね」
いつの間にか魅音が心配そうに俺を覗き込んでいた。
「あ…いや、ただの寝不足だ。気にするな」
「も~ビデオ見るのも程々にしなよ?」
「だから違うって何度言ったら分かるんだ!」
俺が憤慨すると魅音はケタケタ笑った。
魅音のおかげでいつもの調子に戻り、今日渡そうと思っていたものを鞄から取り出した。
「…魅音」
「なに?」
「今日お前誕生日だろ?」
一日渡せずにいたプレゼントを魅音に押しつけた。
「え?圭ちゃん…これ…」
「べ…別にわざわざ買ってきた訳じゃないからな?買い物のついでっていうか…」
目を合わせられず視線を逸らしたまま言い訳をした。
…って、言い訳もなにも本当の事だろ?!
魅音から反応が返ってこないので魅音を見るとうっすらと頬を紅く染めてまじまじとプレゼントを見つめていた。
そして嬉しそうにプレゼントを握りしめながら笑った。
「…ありがとう!開けていい?」
「ダメだ。帰ってからにしろ」
今開けられると『私には似合わない』なんて拒否されそうな気がしたのと、単純に恥ずかしかったからそう言った。
「え?なんで?」
魅音はそれまでのしおらしい表情から一転、いつものきょとんとした表情に変わった。
「いいからしまっとけ!」
「ちぇ~分かったよ」
魅音はしぶしぶ言う通りに鞄にプレゼントをしまった。



私は圭ちゃんと別れて、急いで家に帰った。

…早く圭ちゃんから貰ったプレゼントが見たい!

私は部屋に駆け込み圭ちゃんから貰った小さな袋を開封した。
「…えっ…?ネックレス?」
中に入っていたのは可愛い猫のチャームがついたネックレスだった。
え?なんでこんなもの私に?!
普段女らしい振る舞いをしていないので、こういう物を貰うとどうしたらいいのか分からない。
だけど、困惑と同時に胸の底からふわふわと嬉しさが込みあがってきた。
圭ちゃん、私の事ちょっとは女の子として見てくれてるのかな?
私は鏡の前でネックレスをつけてしばしそれを眺めていた。

しばらくそのまま眺めていると、客が来たようだ。
私はとっさにネックレスを服の中に隠して玄関へ向かった。




PR