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Triangle 5
(5話/押しかけ女房)

あの日から、詩音はちょくちょく分校へやってきてベタベタ俺に絡みつくようになっていた。
「はい、圭ちゃんあ~ん♪」
最初は学校帰りにひやかし程度だったのが、徐々にエスカレートしていき、昼休みまで弁当を作って押しかけてくるようになった。
「詩音、やめろって!何もこんな所でそんな事しなくてもいいだろ?」
みんなが迷惑そうな目で見ているにも関わらず、詩音は構わずじゃれついてくる。
これじゃ電車の中でイチャついてるバカップルと変わらないじゃないか!
それに、俺達がこうしていると何故か魅音が悲しそうな顔をするのだ。
だから散々学校でベタベタするなと言っているのに詩音は一向に聞いてくれる様子がない。
「圭ちゃんひどい…そんな風に言わなくてもいいじゃないですか…」
詩音がしゅんとうなだれる。
う…そんな顔されると弱い…
「あーあ、見てらんない。イチャつくなら余所でやってよ!」
魅音は詩音を睨み付け乱暴に立ち上がると弁当を持って扉の方へ向かった。
「あれ?お姉妬いてるんですか?」
詩音がニヤリと笑うと魅音が振り返り、バチバチと火花を散らしながら睨み合い、魅音は出て行ってしまった。
「魅音…!」
気付けば俺は魅音に向かって手を伸ばしていた。
「お姉こわ~い!」
詩音がわざとらしく俺の腕をとってしがみついてくる。
「梨花ちゃん、沙都子ちゃん、私達も行こう?お邪魔みたいだし」
魅音が消えて行った扉を見つめていると、レナも続いて立ち上がった。その顔にいつもの笑顔はなかった。
いつも優しいレナが怒るなんてよっぽどの事だ。
「そのようですね。行きましょう、沙都子」
「え、ええ…」
3人は弁当箱を持って教室の外へと消えていった。
「あーあ、行っちゃいましたね。あんなに怒らなくてもいいのに…」
「詩音…いつも学校でベタベタするなって言ってるだろ?!」
俺が詩音を諭そうとすると、詩音は涙目になっていた。
「し…詩音?!」
「…だって…お姉達が羨ましかったんだもん。みんなは学校にいる間は圭ちゃんと一緒にいられるけど私は圭ちゃんの側にいられない。だからその分昼休みの間だけでも圭ちゃんに色々な事してあげたかったんです…それっていけない事?」
詩音は上目遣いで涙を溜めて俺を見つめた。
ここまで言われちゃやめろなんて言えるわけがない。
俺は詩音の頭を撫でた。
「詩音……ありがとな。じゃあ明日から二人で食べるか?」
「本当に?!いいの?圭ちゃん…私嬉しい!」
詩音の顔がぱぁっと明るくなって眩しい笑顔で俺に抱きついてきた。
「お、おい詩音!学校ではやめろって!」
教室である手前、困惑しながらも嬉しそうな詩音を引き剥がす事はできなかった。



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