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(圭一転校時、魅音視点)

今日、雛見沢分校に転校生がやってくるらしい。
東京から越してきた私より一つ年下の男の子。
例の「前原屋敷」の御子息ってわけだ。
ばっちゃが雛見沢の発展の為に園崎家の私有地を売り出してから初めて引っ越してくる一家。
果たしてこの雛見沢にどんな変化をもたらしてくれるのか。
新しい風を吹き込んでくれるのだろうか。


教室の雰囲気もざわめきたっていて、どんな子が来るのか期待と緊張が入り混じっていた。
そして、とうとう知恵先生がやってきた。
いつも通り号令をかけ、みんなが座ったところで知恵先生が口を開いた。
「今日は皆さんに転校生を紹介します」
知恵先生に促され、転校生が姿を表し、教壇の前に立った。

その姿を見た瞬間、風が吹き抜けた気がした。

朝日に照らされキラキラ輝くその顔に目が釘付けになる。
「東京から来た前原圭一です。よろしくお願いします」
少し緊張した面持ちで、しかし新たな一歩を踏み出そうと力強い眼差しで教室を見渡していた。
その眼差しに何故だか異様に胸がざわめき、喜びや希望や不安、様々な感情が渦巻いた。

休み時間、私は誰よりも早く転校生に近づいた。
「雛見沢分校へようこそ!私は委員長の園崎魅音。よろしく!」
少しでも早く打ち解けられるよう、彼を最高の笑顔で迎える。
「あ、どうも、前原圭一です」
彼はまだ緊張しているようでぎこちない返事が返ってきた。
でも悪い奴じゃなさそうだ。
「前原圭一かぁ。ん~……じゃあ圭ちゃんだ!」
「え?」
少し馴れ馴れしいくらいの方が早く馴染めるのではないかと、思いつきで彼に愛称をつけた。
突然の事に彼はぽかんと面食らっていた。
「圭ちゃんでいいでしょ?私の事も魅音でいいからさ。同年代は私と隣に座ってるレナだけだから仲良くやろうよ!」
レナも隣でにっこりと笑った。
「よろしくね、圭一くん」
女の子に下の名前で呼ばれる事に慣れていないのか、少し戸惑っていたがまんざらでもなさそうだった。
「あ、あぁよろしく」

それから数週間付き合ってみると予想以上に面白い奴だった。
焦ると訳の分からない事をペラペラとまくし立て、挑発してやるとすぐに乗ってくる。
最初こそ遠慮がちだったものの、私達がガンガンちょっかいかけているうちに徐々に慣れて打ち解けていった。

そして私は圭ちゃんを部活に誘った。圭ちゃんの真価が現れたのはそれからだ。
やや短絡的なところはあるけど頭の回転は悪くない。
ツメは甘いもののその巧みな話術で他人を自分側へ引き込む力を持っている。

ああわくわくする。彼と一緒なら何だって出来る気がした。

さぁ、今日は何をして遊ぼうか?



あとがき