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Triangle
(圭詩←魅シリアス※微エロ)

『でさぁ~圭ちゃんったらね…』
魅音が上機嫌にベラベラと圭ちゃんの話をまくしたてる。
私達姉妹は家の事情で住まいを離されているが、時々こうして連絡を取ってお互いの近況を話し合っている。
最近、その報告の中に圭ちゃんという名前が頻繁に出てくるようになった。
雛見沢に遊びに行った時に何度か会った事があるが、魅音の話の通り、単純でからかい甲斐のある面白い奴だった。
「…お姉は圭ちゃんの事好きなんですか?」
『ふえっ?ち…違うよ!別に好きって訳じゃ…』
電話の向こうの魅音が顔を真っ赤にしてわたわたと慌てているのが分かる。
「ふーん、じゃあ私が狙っちゃおうかな」
『だっ…だめだめ!圭ちゃんなんてデリカシーないし無神経だし全然良くないよ!』
ある程度こういう反応を狙ってはいたが、ここまで食いつかれるとは思わず、私は更にからかってやる。
「また遊びにいこうっと」
『だ…だめだってば!』
「どうして?お姉は別に好きじゃないんでしょ~?」
『…ううっ…それは…』


それ以来、私はちょくちょく圭ちゃんにちょっかいを出しに行くようになった。
最初はただ魅音をからかうだけのつもりだった。だけどあの子があまりにも必死に私を追い返そうとするものだから
…魅音の好きな圭ちゃんという人に興味を持ち始めた。

「圭ちゃ~ん!」
そしてついに私は魅音に内緒で圭ちゃんを興宮に呼び出した。
「遅いですよぉ~。女の子を待たせるなんて男失格ですよ!」
「悪い悪い、出かけにお袋に捕まっちまって…で、今日は何の用だよ?」
「用がなきゃ呼んじゃいけませんか?圭ちゃんと二人で遊びたいなぁ~と思ったんですけど」
私は圭ちゃんの腕に抱きついてわざとらしく胸を押し付けた。
「詩…詩音…む、胸が…」
「なんですか?圭ちゃん」
圭ちゃんは期待を裏切らず、赤くなっておどおどしている。
このくらいで真っ赤になって慌てちゃって…面白いなぁ。
「圭ちゃん、私あの雑貨屋さん見たいんですけどいいですか?」
「ああ」
私は圭ちゃんの腕を引っ張って雑貨屋へ入って行った。
お店の中は女の子らしい可愛い雑貨で満たされていた。
「わぁー、これ可愛い」
私はとあるネックレスを手に取った。
可愛いくまのチャームがついたシンプルなネックレスだ。
ポイントに小さな宝石があしらわれていて、少し高くなっていた。
全く手が届かない値段ではないが、そうそう軽く手を出せる値段でもない。
私はそのネックレスを戻した。
「買わないのか?」
「ちょっと高くて買えないですね」
「う~ん、確かに」
圭ちゃんも値札を見て唸った。
「詩音はこういうの好きなんだな。魅音はまるで興味なさそうだけど」
「あははは、そうですね。お姉は男の子みたいですからね」
私達は双子で好みもよく似ている。だから私が興味を持ったものはきっと魅音も同じように興味を示すのだろう。ああ見えて案外可愛い物好きなんだけど、表面上は興味がなさそうに装っている。
その事には触れずに、圭ちゃんに合わせて返事をする。
「あ、じゃあこっちは?これだったら安いぞ」
圭ちゃんは安っぽいくまのネックレスを見つけて差し出した。いかにも子供のおもちゃのようなネックレス。
だめだなー、女の子の好みを全然分かってない。
「これですか?うーん…」
「これだったら俺が出してやってもいいぜ」
「え…?」
思いがけない言葉に私は顔をあげて圭ちゃんを凝視した。
「…買ってくれるの?」
「だってあまりにも名残惜しそうだったから…欲しがってるの買ってやれなくて悪いけどこれならいいぜ」
圭ちゃんは私の頭に手を乗せてぐしゃぐしゃ撫でた。
こんな乱暴に撫でられたって…嬉しくなんかないんだから。
正直こんなの全然可愛くないし欲しいとも思わなかったけど、買ってくれると言われた事が嬉しくて買ってもらう事にした。

圭ちゃんは他にも色々選んでいた。
何を買うのか聞いてみたら、部活メンバーにも買っていくそうだ。
「魅音にこれあげたらどんな反応するかな?」
圭ちゃんは私と同じようなネックレスを選んでそう言った。
私はその言葉で一気に興醒めした。
二人きりで会いたいって呼び出したんだからちょっとは気付けよ…デリカシー無さすぎ…
魅音はこんな男のどこがいいんだか。
「お姉はこういうの喜ばないですよ。こんなの似合わないって拒否されるだけです」
私は冷たく言い放ってお店を出た。
「お、おい詩音待てよ!」
圭ちゃんは手に持っていた物を急いで買って私を追いかけてきた。
「ほら、ネックレス」
そう言って圭ちゃんはネックレスを差し出す。
「ありがとうございます」
私はそっけなく受け取り、スタスタと圭ちゃんの前を歩いた。
「お、おい怒ってるのか?」
「別に怒ってなんかいません」
「じゃあどうしたんだよ急に」
「自分の胸に聞いてください」
「…な、なんだよ…何か俺悪い事した?」
この鈍感男め…
このままでは埒があきそうにないので私は妥協案を提案した。
「あーなんだかお腹すいちゃいました。圭ちゃん、あそこのケーキ奢って下さい。そしたら今のは水に流します」
「えっ、俺そんな金持ってないんだけど…」
「他の女の子にほいほいネックレスあげるお金はあっても私にケーキ奢るお金はないんですね~?」
ったく四の五の言わず素直に言うこと聞け!と目線で訴える。
「わ…分かったからそんなに怒るなよ」
私はその答えを聞いてスタスタとケーキ屋へ向かった。
エンジェルモートでも良かったのだけど、なんとなく親戚の目に触れたくなくて、園崎系列ではない店を選んで入った。

店に入り、圭ちゃんはメニューを見てそれ程高い値段ではない事を確認してホッとしたようだった。
「そんな高い店入りませんよ。圭ちゃんがお金持ってないなんて承知の上です」
「一体なんなんだよ…」
「…圭ちゃん、実は明日私の誕生日なんです。本当は明日呼びたかったんですけど明日は用事があるので」
「えっ?そうなのか?じゃあ魅音も?」
圭ちゃんはやっぱり魅音の名前を出してきた。まぁ、付き合いの多さから考えれば当然の事だけど…なんだか面白くない。
「だったらさっきもっとちゃんとしたの買ってやれば良かったなー」
「誕生日だって知ってたらあのネックレス買ってくれましたか?」
「…い、いやあれは無理だけどもうちょっと…」
「これからケーキ奢ってもらうからいいです」
「そうだな、どれでも好きなの食えよ!」
そして私は店員に注文をした。
「そうか、明日誕生日なのか。じゃあ先に言っておくな。詩音、誕生日おめでとう」
圭ちゃんは満面の笑顔でそう言った。
「明日用事入っちゃってて残念。本当は明日会いたかったなー」
私はしゅんとした素振りで言った。
「そうだな~残念だな」
圭ちゃんは大して興味のなさそうな返事をした。
こいつ…これだけアプローチかけてるのに!

そして私達はケーキ屋を出た後も色々なお店を見て回った。
そうしているうちにすっかり日が暮れ、辺りは真っ暗だった。

「圭ちゃん、今日夕食うちで食べて行きません?」
「え?そんな悪いよ」
「今日くらい一緒にいたいんです」
目を伏せて、寂しそうな風を装う。
「え?詩音?」
圭ちゃんは照れたような困ったような微妙な表情をしていた。
「ね?いいでしょ?」
私は上目遣いで弱々しく圭ちゃんを見つめた。
「あ、ああ」
かくして圭ちゃんを家に誘い込む事に成功した。

私はマンションへ圭ちゃんを招いて夕食を作り、振る舞った。
「どうですか?お味は」
「うん、うまい。詩音は料理出来るんだな」
「失礼な!炊事は一人暮らしの基本ですよ?」
「そっか、そうだよな」
圭ちゃんはあれこれ頬張って本当に美味しそうに食べていた。
そんな様子につい顔が綻んだ。


夕食を終え、私達は和やかに食後の時間を楽しんだ。

「じゃあそろそろ帰らないと…」
結構いい時間になってきた頃、圭ちゃんがそう言って立ち上がろうとした。
「待って」
私はその腕を掴んで引き止める。
「行かないで…今日は一緒にいたいの。明日は会えないからせめて日付が変わるまでは…」
「でも…」
目をうるうる潤ませて圭ちゃんに懇願する。圭ちゃんはぎょっとしてどうすればいいか分からずうろたえていた。
私は圭ちゃんの手をとりベッドまで移動して腰かけさせた。
髪をほどき、手早くシャツのボタンを胸ギリギリまで外す。
そして圭ちゃんに抱きついた。
「…圭ちゃん…今日は一緒にいて…お願い…」
「し、詩音…?」
胸の谷間が見えるよう、さりげなく体を離した。
案の定圭ちゃんの視線は谷間に注がれる。
目にうっすら涙を溜め、上目遣いでトドメの言葉を呟いた。
「…私…圭ちゃんになら……何されてもいいよ…?」
圭ちゃんはごくりと喉を鳴らした。

さぁ、どうする前原圭一?
ここで来なきゃ男じゃないよ?

次の瞬間、圭ちゃんは私を押し倒して唇を重ねた。

かかった…!
私は圭ちゃんに気付かれないようにニヤリと笑って、笑い声が込み上げそうになるのをグッと堪える。
男なんて、胸を押し付けて迫れば大抵は逆らえやしない。
これで誰が何と言おうが圭ちゃんは私のもの。

圭ちゃんは熱に浮かされたように夢中で私の胸を揉み、体を貪った。


時計が午前零時を回り、私と圭ちゃんは繋がったままその日を迎えた。




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