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choco milk
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たからもの
(圭魅ホワイトデー)

結局、バレンタインの後特に圭ちゃんからの反応はなく、何事もなかったかのように時は過ぎた。
バレンタインからしばらくは気が気じゃなくて圭ちゃんを意識してしまい、ぎこちない日々が続いた。
だけど、結局取り越し苦労に終わったみたいだ。
やっぱり気付かれなかったかな。
気付かれて気まずくなるのは困るけど、気付いてもらえないのはそれはそれで寂しい。

もやもやした気持ちを抱えながらバレンタインから早一ヶ月。今日はホワイトデー。
圭ちゃんがホワイトデーを覚えているのかは怪しいけど…ちょっとだけ期待してしまう自分がいた。

しかし圭ちゃんはそんな素振りは全く見せず、いつも通りに一日が過ぎあっという間に帰宅の時間となった。
今日の部活はレナが見事勝利しビリの沙都子と、梨花ちゃんをいっぺんにお持ち帰り出来ると浮かれて二人の家へ一緒に帰って行った。

なので、今日の帰りは圭ちゃんと二人きり。
相変わらず圭ちゃんはいつも通り…いや、いつも以上にベラベラと喋りまくっている。
一応圭ちゃんの話に相槌を打ってはいるものの、ちょっぴり残念な気持ちの帰り道となった。
お返しが欲しい訳じゃないけど…何か一言くらいあってもいいんじゃないの…?

そしてとうとういつもの別れ道まで来てしまった。
すると圭ちゃんが突然何かの包みを鞄から取り出した。
「魅音これ…バレンタインのお返し…」
「え?」
圭ちゃんは視線を逸らしながらその包みを差し出した。
「チョコ、うまかったぜ」
私がその包みを受け取ると圭ちゃんがもごもごと小さな声で呟いた。
「あ、うん…ありがとう…」
「それ、一人で全部食べろよ。人にあげたり人前で食べたりしたら絶対ダメだからな!」
「え?…え??」
圭ちゃんは去り際に聞き覚えのある台詞を残して帰って行った。
それは私がチョコを渡した時に言った言葉だった。

思わぬタイミングでのお返しに面食らいながら、早速家に帰って圭ちゃんからもらった包みを開いた。
すると最初に圭ちゃんからのメッセージが書かれた紙が目に入った。
「えーと…なになに?『バレンタインのチョコありがとう。
食べる前にこの中に隠れているメッセージを見つけること!見つけられたら食べてよし。 圭一』 」
そしてその下にあった箱を開けてみると、クッキーやらチョコやら可愛いお菓子がたくさん詰められていた。
それはまるでお菓子の宝箱のよう。
「メッセージ?何だろう…」
箱の中を凝視して、宝の山を指で探ってみる。
どんな素敵な宝物が隠れているのだろう。
私はわくわくしながら圭ちゃんのメッセージを探した。

しばらく探っていると、文字の形をしたビスケットが混ざっている事に気がついた。
「もしかしてこれかな?」
さらにお菓子の中を探して、文字のビスケットを次々と探し出した。
そしてもう他に文字ビスケットがないことを確認し、その文字を眺めて文を組み立てる。
あれこれ悩んで、ようやくたどり着いた答えに、目を見開いた。
「これって…バレンタインの返事?」
それらしき答えにたどり着いたもののどうもその答えに自信が持てなくて、他のメッセージが隠れていないかと疑ってしまう。

だって、まさか圭ちゃんが……『おれもすき』、だなんて…

だけど一度気付いてしまうとそうとしか考えられなかった。
そして今更ながらにその言葉に頬が熱くなる。

お返しをもらえただけでも嬉しかったのに、まさかバレンタインの返事までもらえるなんて。
圭ちゃんがどの程度本気で受け取ったのかは分からないけど、その言葉が嬉しくて嬉しくて、しばらくその文字を眺めていた。


箱の中に入っていたお菓子は全部食べたけどその文字のビスケットだけは食べるのがもったいなくて、
ビスケットをそのまま並べて箱の中へしまっておいた。





あとがき