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宣戦布告
(圭→魅)

魅音を知らず知らずのうちに目で追ってしまうようになったのはいつからだろう。

いつから、なんて言っても引っ越して来てまだ一ヶ月も経っていないのだが。
それなのにもうずっと前から一緒にいるような気がする。
魅音だけじゃない、この仲間達とも。
もう100年以上運命を共にしてきたような気さえする。
…さすがに100年は大袈裟すぎか…

でもそれ位気心が知れていて大切な存在だという事。

魅音を目で追うようになったのは、最初は部活で魅音を打ち負かしたい、程度の理由だったはずだ。
だがよく見ていて気付いた事がある。

魅音は仲間達やクラスメート、更には村人達の事にまで目を配って、さり気なく気を使っている事。
普段の魅音からは想像もつかない程細やかに、人に気付かれないようなところで一生懸命みんなの為に尽くしている。

そしてもう一つは魅音にも女らしい可愛い一面があるという事。
最初レナに聞かされた時は信じられなかったが、段々と魅音を知っていくうちに納得がいくようになっていた。
そんな姿は人前では滅多に見せないのだが、レナから漏れ聞く女性らしさ、
たまにポロッと見せる普段からは思いも寄らないような女の子の表情。

それを知った時、心がぎゅっと掴まれ、愛おしさが溢れ出した。
最初はその気持ちに戸惑い随分否定しようともした。

だが意識すればする程にその想いは深まり、とてもごまかし切れない所まで来てしまった。

俺は鈍感だから知らず知らずのうちに魅音を傷付けてしまう事があったかもしれない。
それどころか疑心暗鬼に取り憑かれ、魅音を信じられなくなった事さえ…

でももう間違えない。

みんなの為に一生懸命頑張る魅音だからこそずっと笑っていて欲しい。
俺はその笑顔を絶やさない為ならどんな努力だってする。

だけど俺はまだまだ魅音の強さにすら追いつけていない。
いつか必ず魅音に追いつき追い越す。
魅音を悲しみから守れるように。

だから、それまで笑っていてくれ。


レナと楽しそうに話していた魅音が突然振り向いてこちらへやってきた。
「圭ちゃ~ん、何ボーっとしてんの?部活始めるよ?」
「おう、今日こそお前を打ち負かしてやるからな!」
「一体いつになったら打ち負かしてくれるわけ~?それもうずっと聞いてるよ?」
魅音は嫌味な笑顔を浮かべ俺を挑発してくる。
その表情でさえ愛おしいと思えてしまうのだからどうかしている。
「今日こそ勝つ!」
「まぁせいぜい頑張って下さいな」
魅音は相手にもしていないように投げやりに言い放った。

くそ…余裕こきやがって…
だが恥ずかしながら今の自分では全く歯が立たないのが現状だ。
でも、いつか必ずお前を倒してやるから覚悟して待ってろよ!



あとがき