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choco milk
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園崎姉妹の誕生日
(二人でケーキを食べる話)  
とある4月上旬の日、私はお姉に呼ばれて園崎本家に来ていた。
「なんですかお姉、わざわざ呼び出して」
「あのね、ケーキ買ってきたんだ。新しいケーキ屋が出来ててそこのケーキが美味しいんだよ!」
そう言ってお姉はケーキの箱を見せた。
まさかとは思っていたけど、今日は4月10日、私たちの誕生日。これはお祝いってこと?
「ふーん?なら誕生日会に持っていけば良かったんじゃないですか?」
新学期になってからなかなかみんなの予定が合わず、先日少し早めに圭ちゃんと私たちの誕生日会を部活メンバーが開いてくれた。
「うーん、そうなんだけどね、なんていうか…懐かしい味がするんだよ。昔二人で食べてたケーキみたいな」
お姉は微笑みながら少し遠い目でケーキの箱に目を落とした。
「だからまずは詩音と一緒に食べたいなって思ってさ」
そして昔から変わらない混じり気のない笑顔を私に向けた。
お姉は手際よくケーキを皿に取り分け、麦茶をコップに注いでケーキを食べる用意をした。
「さ、じゃあ食べようか」
「どれどれ、そんなに美味しいなら頂きましょうかね」
見た目はどこにでもありそうな普通のケーキ。そんな事を考えながらケーキをつついて口に運んだ。
…あ、なんだっけこの味。そうだ、ちょっと前に潰れたあのお店の…
「本当だ…美味しい!」
「でしょ~!」
お姉がそう言って自慢げに笑った。

二人でケーキを食べていたらまだ一緒に住んでいた時の光景が蘇った。
ケーキのイチゴをいつまでたっても食べようとしないから私がつまみ食いしてたな。
ほら、今もやっぱりとってある。昔から変わってないなぁ。
じゃ、頂いちゃいましょうか。
「いただき!」
「ああああ~!!!私の~イチゴが!」
反応も全然変わってなくて、おかしくなって私はゲラゲラ笑い転げた。
「イチゴ返してよー!!」
「さっさと食べないから悪いんですよ!」
涙目になって迫ってくるお姉を散々おちょくった。

その後お姉を宥めて二人でとりとめのない話でのんびりと過ごしていたらあっという間に時間が過ぎていった。
そろそろいい時間なので帰る事になり、お姉が門の外までお見送りしてくれた。
「ごちそうさまでした。お姉にしてはいいチョイスでした」
「今日はありがとう。久々にゆっくり話せて楽しかったよ。また会おうね」
そう言われてみれば最近お互いに忙しくて二人で会って話したりしてなかったな。
「そうですね。お互い落ち着いたらまた」
「うん、またね」

そして私は迎えの車に乗り込んだ。



どうでもいい個人的ぼやき